世界交響曲


世界は今日も生まれては消え

君と僕らは途方に暮れる

彼らの言葉を抱えたままで



業火の下にロボットは空を裂き

兵器の少女は恋人の胸で泣く


選ばれた少年は自己の意義に苦悩し

人類の住処が地に撃ち堕される



彼らは詠う、世界の詩を

命を削り、言葉を駆使し

ただ終末へと疾走する



その歌の名は 「世界交響曲


君と僕らは立ち尽くす

言葉の残滓の山の前で

肥大し続ける残骸の前で


田舎の子供たちは運命に弄ばれ

”目”を持つ青年は吸血鬼と出会う


退屈な彼女は異世界を渇望し

少年たちは裏山でUFOを待つ


彼らは奏でる、世界の旋律を

冒険と不思議に満ちた音たちを

堕落と飽食に生きる僕らへと



その旋律の名は 「世界交響曲


君と僕らは聞き流す

世界の消えるその一瞬を

世界の壊れるその瞬間を


山間の村はロボットに焼き尽くされ

兵器の少女が少年と苦悩を掻き消す


退屈な彼女はナイフで切り裂かれ

少年たちは堕ちゆく住処を見る



悲鳴を発するワールズエンドの刹那に

彼らが奏でる終末の曲の群れに

君と僕らは名前をつけた


その曲の名は「世界交響曲